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貧しい町を通って、黒い髭ひげの生えた飴屋あめやに逢った。飴屋は高い石垣の下で唐人笛とうじんぶえを吹いていた。その辺は停車場に近い裏町だ。私が学校の往還ゆきかえりによく通るところだ。岩石の多い桑畠くわばたけの間へ出ると、坂道の上の方から荷車を曳ひいて押流されるように降りて来た人があった。荷車には屠ほふった豚の股ももが載せてあった。後で、私はあの人が銀馬鹿だと聞いた。銀馬鹿は黙ってよく働く方の馬鹿だという。この人は又、自分の家屋敷を他ひとに占領されてそれを知らずに働いているともいう。
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