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五百は六、七歳になってから、兄栄次郎にこの事を聞いて、ひどく憤いきどおった。そして兄にいった。「そうして見ると、わたしたちには親の敵かたきがありますね。いつか兄にいさんと一しょに敵かたきを討とうではありませんか」といった。その後のち五百は折々箒ほうきに塵払ちりはらいを結び附けて、双手そうしゅの如くにし、これに衣服を纏まとって壁に立て掛け、さてこれを斫きる勢いきおいをなして、「おのれ、母の敵かたき、思い知ったか」などと叫ぶことがあった。父忠兵衛も牧も、少女の意の斥さす所を暁さとっていたが、父は憚はばかって肯あえて制せず、牧は懾おそれて咎めることが出来なかった。
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