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「さあ、武男さんが帰ったら怒おこるだろうが、離縁してしまッて置けば、帰って来てどう怒ってもしようがない。それに武男さんは親孝行おやおもいだから、御隠居が泣いて見せなさりア、まあ泣き寝入りだな。そっちはそれでよいとして、さて肝心要かなめのお豊姫の一条だが、とにかく武男さんの火の手が少ししずまってから、食糧つきの行儀見習いとでもいう口実おしだしで、無理に押しかけるだな。なあに、むずかしいようでもやすいものさ。御隠居の機嫌きげんさえとりアできるこった。お豊がいよいよ川島男爵夫人になりア、彼女あれは恋がかなうというものだし、おれはさしより舅役しゅうとやくで、武男さんはあんな坊ちゃんだから、川島家の財産はまずおれが扱ってやらなけりゃならん。すこぶる妙――いや妙な役を受け持って、迷惑じゃが、それはまあ仕方がないとして、さてお豊だがな」
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