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――元来この縁起の書付かきつけと申しますのは、呉家の名跡みょうせきを嗣つがるる御主人夫婦が初めての御墓参の時に人を払って御覧に入れる事に相成っております。そのほか呉家の御血統に関係致しました事は、尋常在あり来きたりの事のほか、一切他人に洩らしませぬのが、開山一行上人以来このかた、当寺の住職たるものの本分の秘密と定められておるので御座いますが、余儀ない御方の御尋ねで御座いますし、殊更ことさらには、呉一郎殿が真まことの狂気か佯いつわりかが相判あいわかりますることが、罪人となられるか、なられぬかの境い目と承うけたまわりますれば、何をお隠し申しましょう……。
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