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抽斎は天保九年の春を弘前に迎えた。例の宿直日記に、正月十三日忌明きあきと書してある。父の喪が果てたのである。続いて第二の冬をも弘前で過して、翌天保十年に、抽斎は藩主信順のぶゆきに随したがって江戸に帰った。三十五歳になった年である。
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