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家の中は寝しずまっていた。甲斐は船岡でも此処ここでも宿直とのいを置かない、次の間から縁側へ出、そして庭へおりていった。曇っているとみえ、空には星ひとつなく、足もともわからないほどの闇夜であった。露に濡れた芝生ではこおろぎが鳴きしきってい、甲斐が歩いてゆくと、そのまわりだけ急に鳴きやむが、あゆみ去るとすぐにまた鳴き続けるのであった。
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