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と暗涙を浮めて懇願されました。しかし正木先生はそれっきり宿所も告げずに、又も行衛ゆくえを晦くらまして終しまわれた折柄ですし、殊に斎藤先生の御人格に今更に深く敬服しました現、松原総長は、急せき込んでおられる斎藤先生を押しなだめて、留任を希望する一方に、この論文を学位論文として、正木先生に学位を授くる事に内定した……という事が、やはり学界の美談として伝えられております。尤もっともこの事は、誰かの口から洩れたと見えまして、新聞に掲載されたそうですが……私はツイ、うっかりしてその記事を見ませんでしたけれども……」
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