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わたくしはこの年の地震の事を語るに先さきだって、台所町の渋江の家に座敷牢ざしきろうがあったということに説き及ぼすのを悲かなしむ。これは二階の一室いっしつを繞めぐらすに四目格子よつめごうしを以てしたもので、地震の日には工事既に竣おわって、その中はなお空虚であった。もし人がその中にいたならば、渋江の家は死者を出いださざることを得なかったであろう。
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危険な人妻「いないのかい」暁の光がうっすらと見えた。と、愛卿の霊は燈の消えるように見えなくなった。室の方を見ると有明の燈の光が消えかかっていた。「うむ。町中の閑静な住宅地だ」「藁をまつめろ」