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「すぐる歳とし、元亀二年の秋、叡山えいざん焼打の折には、この光秀も一手の先鋒せんぽうを命ぜられ、山上の根本中堂、山王二十一社、そのほかの霊社仏塔、悉ことごとくを焔ほのおとなし、刃向う僧兵のみか、稚子ちご上人しょうにん、凡下ぼんげ高僧、老幼男女のさべつなく、これを斬って、火に投じ、ふたたびこの深山みやまには、人はおろか、草木の芽も出まじと思わるるほど、掃滅殺戮そうめつさつりくのかぎりを為なし尽したが……もういつしかそこには、また生き残りの法師たちが帰って来て、生きる道を求めておるとみゆるの」
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