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わたくしは谷中の感応寺に往って、抽斎の墓を訪ねた。墓は容易たやすく見附けられた。南向の本堂の西側に、西に面して立っている。「抽斎渋江君墓碣銘ぼけつめい」という篆額てんがくも墓誌銘も、皆小島成斎こじませいさいの書である。漁村の文は頗る長い。後に保さんに聞けば、これでも碑が余り大きくなるのを恐れて、割愛して刪除さんじょしたものだそうである。『喫茗雑話きつめいざつわ』の載する所は三分の一にも足りない。わたくしはまた後に五弓雪窓ごきゅうせっそうがこの文を『事実文編じじつぶんぺん』巻けんの七十二に収めているのを知った。国書刊行会本を閲けみするに、誤脱はないようである。ただ「撰経籍訪古志」に訓点を施して、経籍を撰び、古志を訪とうと訓よませてあるのに慊あきたらなかった。『経籍訪古志』の書名であることは論ずるまでもなく、あれは多紀※(「くさかんむり/頤のへん」、第4水準2-86-13)庭たきさいていの命じた名だということが、抽斎と森枳園もりきえんとの作った序に見えており、訪古の字面じめんは、『宋史そうし』鄭樵ていしょうの伝に、名山めいざん大川たいせんに游あそび、奇を捜し古いにしえを訪い、書を蔵する家に遇あえば、必ず借留しゃくりゅうし、読み尽して乃すなわち去るとあるのに出たということが、枳園の書後に見えておる。
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