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伯母はもの言わず。浪子も黙しぬ。馬車の窓に輝きし夕日は落ちて、氷川町の邸やしきに着けば、黄昏たそがれほのかに栗くりの花の香かを浮かべつ。門の内外うちそとには荷車釣り台など見えて、脇わき玄関にランプの火光あかりさし、人の声す。物など運び入れしさまなり。浪子は何事のあるぞと思いつつ、伯母と看護婦にたすけられて馬車を下れば、玄関には婢おんなにランプとらして片岡子爵夫人たたずみたり。
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