究極美少女かえで19歳3二十七日、亀山御着着いた翌あくる日である。
縁絶えしより、川島家は次第に遠くなりつ。幾百里西なる人の面影おもかげは日夕にっせき心に往来するに引きかえて、浪子はさらにその人の母をば思わざりき。思わずとにはあらで、思わじと務めしなりけり。心一たびその姑しゅうとの上に及ぶごとに、われながら恐ろしく苦き一念の抑おさうれどむらむらと心むねにわき来たりて、気の怪しく乱れんとするを、浪子はふりはらいふりはらいて、心を他に転ぜしなり。山木の女むすめの川島家に入り込みしと聞けるその時は、さすがに心地乱れぬ。しかもそはわが思う人のあずかり知る所ならざるべきを思いて、しいて心をそなたにふさげるなり。彼女かれが身は湘南に病に臥ふして、心は絶えず西に向かいぬ。
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