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柴田外記はまだ不審げに、古内志摩はさてこそという顔で、左右から甲斐を見まもった。安芸の言葉はあまりに突然であり、また、事情を知らない者には漠然としていて、事の重大さに実感がともなわなかった。ただ志摩はおぼろげにわかるような気がした。こんど出府するまえ、茂庭主水もんどからひそかに告げられたこと、数日前に甲斐を訪ねて、「なにか役に立とう」と申し出たとき、やわらかに、しかしきっぱりと拒絶されたこと、特に、侍は自分のしたことを弁明したり釈明したりするものではないと思うと答えた甲斐の態度などが、詳しいゆくたてはわからないながら、いま安芸の云ったことの意味を、慥たしかに裏付けていると信じられた。
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