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輔之には登勢とせという女むすめ一人ひとりしかなかった。そこで病やまい革すみやかなるとき、信濃しなのの人某それがしの子を養って嗣しとなし、これに登勢を配した。登勢はまだ十歳であったから、名のみの夫婦である。この女壻が為隣いりんで、抽斎の曾祖父である。為隣は寛保かんぽう元年正月十一日に家を継いで、二月十三日に通称の玄春げんしゅんを二世玄瑳げんさと改め、翌寛保二年七月二日に歿し、跡には登勢が十二歳の未亡人びぼうじんとして遺のこされた。
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