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「お愚痴どころか、お母堂さまには、私たちが伺っていたところへ、ちょうど右府うふ様からもお迎えの使いがお見えなされて、久しぶりのことである、筑前が安土に参っておるゆえ、寧子ねね様を伴い、ちょっとわが城へ来て対面してはどうか――とありがたい御諚ごじょうがあったにもかかわらず、お母堂さまのお答えには、中国の役えきすら、まだ半途と聞く、安土に来たのも、公おおやけの御用、こちらから婆や妻などが会いになど行っても、あの子は決してよろこび顔をいたしますまい。折角、右府様のありがたい思し召ではござりますが、お断り申しあげまする――と、美々しいお迎えのお船をも、むなしくお返しになったほどでございまする」
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