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わたくしはこの年の地震の事を語るに先さきだって、台所町の渋江の家に座敷牢ざしきろうがあったということに説き及ぼすのを悲かなしむ。これは二階の一室いっしつを繞めぐらすに四目格子よつめごうしを以てしたもので、地震の日には工事既に竣おわって、その中はなお空虚であった。もし人がその中にいたならば、渋江の家は死者を出いださざることを得なかったであろう。
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