東南アジア乱交幻影のやうにふくらんだ宝玉は、趙はせき込んで言った。
「信長公。――右大臣家をさしおいて何をもうすかと、あなたは心中に半兵衛のことばを御迷惑がっておられましょう。……そうです、そのお心もちはわかります。……けれど、信長公には信長公でなくては能あたわぬ使命をもって、天意は充分に、公おおやけに振舞わせておられます。現在の状態を打ち破るあの御威勢、今日までの百難をふみこえられて来たあの御信念、それは徳川どのでも、あなた様でも、よくなしうることではありません。信長公を措おいて誰か時代の混乱をここまで統率して来ることができましょう。……さはいえ、それをもって宇内うだいのすべてが革あらたまるとはいえないでしょう。中国を征し、九州を略し、四国を治め、陸奥みちのくを伐うつとも、それのみで、上かみ朝廷を安んじ奉り、四民を和楽せしめ、しかも次の文化の建設、世々の隆昌の礎いしずえがすえられるとはいえません。……いえませぬ」
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