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――土蔵の戸前が開きますと、中から若旦那が片手に鍵を持って、庭下駄を穿はいて出て来られて、私共を見てニッコリ笑われましたが、その眼付きはもう、平常いつもと全く違うておりました。待ちかねていたお八代さんは、その手からソッと鍵を取り上げて、何か欺だまし賺すかすような風付ふうつきで、耳に口を当てて二言三言云いながら、サッサと若旦那の手を引いて、離家はなれに連れ込んで寝かして御座るのが、私の処からよく見えました。
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