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突然、なにかに躓つまずいて転びそうになり、六郎兵衛は苦痛の呻き声をもらした。爪先をなにかに突っかけたらしい。よろめいただけで転びはしなかったし、爪も無事ではあったけれど、骨までひびく痛さに、暫くは指が痺しびれたままであった。往来のことだから人が見ていたであろう。子供たちの笑う声が聞え、ついでうしろから、「馬だよ馬だよ」とどなられた。六郎兵衛が身をよけると、すぐ側を馬が通りすぎ、馬のからだの匂いが強く、まるで顔を撫で去るようにはっきりと感じられた。
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