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迷庵の考証学が奈何いかなるものかということは、『読書指南』について見るべきである。しかしその要旨は自序一篇に尽されている。迷庵はこういった。「孔子こうしは堯舜ぎょうしゅん三代の道を述べて、其その流義を立て給たまへり。堯舜より以下を取れるは、其事の明あきらかに伝はれる所なればなり。されども春秋の比ころにいたりて、世変り時遷うつりて、其道一向に用ゐられず。孔子も遣やつては見給へども、遂に行かず。終ついに魯ろに還かえり、六経を修めて後世に伝へらる。これその堯舜三代の道を認めたまふゆゑなり。儒者は孔子をまもりて其経を修むるものなり。故に儒者の道を学ばむと思はゞ、先づ文字を精出せいだして覚ゆるがよし。次に九経きゅうけいをよく読むべし。漢儒の注解はみな古いにしえより伝受あり。自分の臆説おくせつをまじへず。故に伝来を守るが儒者第一の仕事なり。(中略)宋の時程頤ていい、朱熹しゅき等ら己おのが学を建てしより、近来伊藤源佐いとうげんさ、荻生惣右衛門おぎゅうそうえもんなどと云いふやから、みな己おのれの学を学とし、是非を争ひてやまず。世の儒者みな真闇まっくらになりてわからず。余も亦また少わかかりしより此この事を学びしが、迷ひてわからざりし。ふと解する所あり。学令の旨むねにしたがひて、それ/″\の古書をよむがよしと思へり」といった。
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