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松本君の会社へ移ると間もなく、僕は山へ出張を命じられた。製材会社だから、彼方此方の山に製材工場がある。そこを廻って歩いて、里へ帰ることは滅多にない。一種の島流しだ。これでは松本君、待遇を好くしてくれる筈だった。石の上にも三年というが、山の中の五年は僕に取って願ってもない修業になった。他の屈託を諦めたから、専念になって、材木そのものを研究した。何にでも学問がある。材木学というものがあったら、僕はその権威者の一人だろう。会社でも掛替のない調法者になったが、その後に三年の空白ブランクが続く。戦争で引張られたのである。しかし何処へ行って何をしたかは今更書き立てる勇気がない。
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