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と源氏は口ずさまれた。渚なぎさへ寄る波がすぐにまた帰る波になるのをながめて、「いとどしく過ぎ行く方の恋しきにうらやましくも帰る波かな」これも源氏の口に上った。だれも知った業平朝臣なりひらあそんの古歌であるが、感傷的になっている人々はこの歌に心を打たれていた。来たほうを見ると山々が遠く霞かすんでいて、三千里外の旅を歌って、櫂かいの雫しずくに泣いた詩の境地にいる気もした。
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