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銀盤の上を玉あられの走るような、渓間たにまの清水が潺湲せんかんと苔の上をしたゝるような不思議な響きは別世界の物の音のように私の耳に聞えて来る。額の蝋燭は大分短くなったと見えて、熱い汗が蝋に交ってぽた/\と流れ出す。隣りにすわって居る仙吉の方を横目で微かに見ると、顔中へ饂飩粉うどんこに似た白い塊が二三分の厚さにこびり着いて盛り上り、牛蒡ごぼうの天ぷらのような姿をしている。丁度二人は「浮かれ胡弓こきゅう」の噺の中の人間のように、微妙な楽の音に恍惚と耳を傾けた儘、いつまでもいつまでも眼瞼まぶたの裏の明るい世界を視詰めてすわって居た。
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