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彼の学校は低い建物で、大きな教室が一つきりの粗末な丸太づくりだった。窓はガラス張りのもあったが、帳面の紙をはぎあわせてあるのもあった。不在のときには、きわめて巧妙に、細枝でつくった紐ひもでしっかりとドアの取っ手をしばりつけ、鎧戸よろいどには心張棒がかってあった。したがって、泥棒はまったくやすやすと侵入できるとしても、出るときにはいささか困惑するにちがいない。おそらくこの思いつきは大工のヨースト・ヴァン・ホーテンが鰻落うなぎおとしのからくりから借りてきたものであろう。校舎は、少々ものさびしいとはいえ気持ちのよいところに建っていた。木のおいしげった丘のふもとで、近くを小川が流れ、白樺しらかばの巨木がその片端に立っていた。眠けを誘う夏の日には、生徒たちの課業を勉強する声が、校舎から低くぶつぶつ聞えてきたが、蜜蜂みつばちのぶんぶんいう音のようだった。ときどきそれが途切れて、先生の、まるで叱しかっているか命令でもしているような調子の重々しい声が聞えた。また、ときには恐ろしい鞭むちの音がしたが、おそらく先生が、だれか歩みのおそいものをうながして花咲く学問の道を進ませようとしているのだった。じつのところ、彼は良心的な男で、いつも心に例の金言を銘じていた。「鞭を惜しむと、子供は甘くなる」イカバッド・クレーンの生徒たちはたしかに甘やかされてはいなかった。
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