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橋場の渡しのほとりなるとある水荘の門に山木兵造やまきひょうぞう別邸とあるを見ずば、某なにがしの待合まちあいかと思わるべき家作やづくりの、しかも音締ねじめの響おとしめやかに婀娜あだめきたる島田の障子しょうじに映るか、さもなくば紅くれないの毛氈もうせん敷かれて花牌はなふだなど落ち散るにふさわしかるべき二階の一室ひとまに、わざと電燈の野暮やぼを避けて例の和洋行燈あんどうらんぷを据え、取り散らしたる杯盤の間に、あぐらをかけるは千々岩と今一人ひとりの赤黒子は問うまでもなき当家の主人山木兵造なるべし。
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