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喜兵衛の帰りは待てない、と甲斐は思った。月番老中が云ったとすれば、老中評定が二十五日か六日におこなわれる、ということは間違いないだろう。そのまえになにか手を打たなければならない、と甲斐は思った。――寝所にはいってからも、なかなか眠ることができず、手を打つべき相手と、その口上について考え続けた。そうして、やがてまどろんだかと思うじぶんに、呼び起こす声を聞いて甲斐は眼をさました。襖の向うの声は堀内惣左衛門であった。甲斐は起き直りながら、はいれと云った。惣左衛門は襖をあけて、村山喜兵衛が戻りましたと云った。
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