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女にはもちろん不平や厭世えんせいのために、山に隠れるということがない。気が狂った結果であることは、その挙動を見れば誰にでも分った。羽後と津軽の境の田代岳たしろだけの麓ふもとの村でも、若い女が山へ遁にげて入ろうとするのを、近隣の者が多勢追いかけて、連れて戻ろうと引き留めているうちに、えらい力を出して振り切って、走り込んでしまったという話を狩野亨吉かのうこうきち先生から承うけたまわったことがある。
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