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二世勝三郎の花菱院かりょういんが三年忌には、男女名取が梵鐘ぼんしょう一箇を西福寺に寄附した。七年忌には金百円、幕一帳ひとはり男女名取中、葡萄鼠縮緬幕ぶどうねずみちりめんまく女名取中、大額並ならびに黒絽夢想袷羽織くろろむそうあわせばおり勝久門弟中、十三年忌が三世の七年忌を繰り上げて併あわせ修せられたときには、木魚もくぎょ一対いっつい墓前花立はなたて並綫香立男女名取中、十七年忌には蓮華形皿れんげがたさら十三枚男女名取中の寄附があった。また三世勝三郎の蓮生院れんしょういんが三年忌には経箱きょうばこ六個経本入いり男女名取中、十三年忌には袈裟けさ一領家元、天蓋てんがい一箇男女名取中の寄附があった。これらの文字は、人があるいはわたくしの何故なにゆえにこれを条記して煩を厭いとわざるかを怪あやしむであろう。しかしわたくしは勝久の手記を閲けみして、いわゆる芸人の師に事つかうることの厚きに驚いた。そしてこの善行を埋没するに忍びなかった。もしわたくしが虚礼に瞞過まんかせられたという人があったら、わたくしは敢あえて問いたい。そういう人は果して一切の善行の動機を看破することを得るだろうかと。
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